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南相馬被災地見学のご報告
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事務局 安部大司 |
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11月26日(月)、当法人の理事である川内美彦東洋大学教授が、東洋大学ライフデザイン学部人間環境デザイン学科の学生と一緒に、被災地である南相馬の見学に訪れた。
この見学は、3.11で被災した被災地の現場に立ち、そこで、自分の目で心で感じた貴重な体験を将来に生かして欲しい、という川内先生の指導者としての思いから実現した。
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この見学は、「講演」と「被災地見学」の2部構成である。
初めに講演(会場:サンライフ南相馬)によって、南相馬3.11当時の状況や、被災地の置かれている現状などを把握し、その後、実際に下記の4か所を見学した。
①ヨッシーランド
②津波被害を受けた海岸
③警戒区域が解除された区域(南相馬市小高区)
④原発から10㌔の地点(牧場) |
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講演は、地元南相馬で障がい者支援活動をされている、NPO法人さぽーとセンターぴあ代表理事の青田由幸さんに、青田さんが経験した3.11直後の状況、また災害という現場において「弱者」である障がい者、高齢者などの知られざる実状について、熱く語っていただいた。
特に安部の心に残ったのは、「障がい者の避難する場所がほとんどない」という現状である。避難所が障がい者にとって暮らせない環境であり、避難してもそこで生活していくことは厳しい、という現実がある。
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学生は皆、メモを取りながら、真剣に聞き入っていた。 |
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その後、青田さんの案内により、今なお震災当時の姿のまま残っている被災地の見学に向かった。被災地に向かうバスの中でも青田さんは、南相馬の現状などについて詳しく説明をしてくれた。 |
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(写真1)ヨッシーランド
震災による津波で36人もの死者を出した老人保健施設「ヨッシーランド」である。
以前、事務局ブログにてご紹介した時には、内部にまで入ることができたが、現在建物は解体工事中で、敷地の入り口の見学であった。しかし遠くから見ても、壁には津波が押し寄せた跡に黒の色が残り、その高さに、当時を想像すると心痛む思いになる。
目の前に積み上げてあるガレキは、放射性物質が付着しているため、処分しようにも処分できる場所がない。無念極まりない。
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(写真2)海岸近くに集められた車
津波で流された車が、ガレキとして山積みされている。
津波被害は、「そのままの形で流される」だけだと思いがちだが、それは間違いである。「そのままの形で流される」のではなく、写真のように、車をめちゃめちゃにするくらいの破壊力がある。車の破損状況が、その威力の凄さを物語っている。
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(写真3)南相馬小高区の街並み
4月に警戒区域が解除され、人間が立ち入ることはできるようになったが、放射線量が高いため区域内に宿泊することはできず、住民が戻って住むことができない区域である。
崩壊した家屋がある以外は普通の街並みだが、全く人の気配がなく、放射能汚染による恐怖を感じさせる。
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(写真4)原発から10㌔地点(牧場)
南相馬側から原発に近づける、ぎりぎりの地点である。
この地点は、放射線量が毎時10マイクロシーベルト以上ある。
牛が放牧されているが、人の気配はなく、実質野放し状態となっている。
立てかけてあるプラカードが印象的である。
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