ユニバーサルデザインとは ?

「ユニバーサル」は直訳すると、「普遍的な」「全体の」という意味になります。
特定の人物だけではなく「すべての人のために」デザインすることを、ユニバーサルデザインと呼びます。
年齢や障がいの有無、体格、性別、国籍、あるいは能力や状況などは関係なく、できる限り多くの人に分かりやすく、できるだけ多くの人が利用可能であるように工夫や配慮がされています。

この考え方は、1980年代にアメリカで建築やデザインの研究をしていた、ロナルド・メイス教授によって明確化されました。
メイス教授は建築家として働き、その後建築設計におけるアクセシビリティの主張に携わるようになりました。建築設計におけるアクセシビリティとは、すべての人にとって利用しやすい建築物を整備することです。例えば「段差」は誰にとっても歩行時の障壁となる可能性があり、できる限り建築物から段差を無くしフラットな状態にしていくことが求められます。

段差のある家
家の中にある段差

メイス教授は自身にも障がいがあり、車いすを使用していました。当時からバリアフリーは「障がい者などの、特別な人のためのもの」と考えられており、そのことに違和感を持っていました。そして、「バリアをはじめから作らないことで、障がいの有無に限らず、すべての人にとって使いやすいものになる」と考えた彼は、ユニバーサルデザインを研究し、普及に努めました。

今も述べた通り、ユニバーサルデザインとは、様々な人にとってできる限り利用可能であるように製品、建物、環境などをデザインすることです。そのため、デザイン変更や特別仕様のデザインが必要なものではあってはなりません。

ユニバーサルデザインをより浸透させるために、ユニバーサルデザイン7原則というものが作られました。これは、建築家や工業デザイナー、技術者、環境デザイン研究者などからなるグループが、協力し合ってまとめたものです。
環境、製品、コミュニケーションなどを含めて、デザインがかかわる幅広い分野での方向性を明確にしています。
この7原則は、既存のデザインの評価や、デザイン・プロセスの方向付けに使われるだけでなく、使いやすい製品や環境とはどうあるべきかを、デザイナーのみならず消費者を啓蒙するためにも活用できます。

スロープ
スロープと手すり

ユニバーサルデザインの7原則

ユニバーサルデザイン7原則は以下のものから構成されています。

  1. 原則誰にでも公平に利用できること
  2. 使う上で自由度が高いこと
  3. 使い方が簡単ですぐわかること
  4. 必要な情報がすぐに理解できること
  5. うっかりミスや危険につながらないデザインであること
  6. 無理な姿勢をとることなく,少ない力でも楽に使用できること
  7. アクセスしやすいスペースと大きさを確保すること