自然公園「村民の森あいの沢」UD検証
自然公園「村民の森あいの沢」UD検証
~ユニバーサルデザインが五感で紡ぐまでいの里 思いやり推進事業~
“ユーザーエキスパートの考えのもと、多様な方々に参加していただきUDチェックを実施し、ハード面・ソフト面の双方の視点から検証するのが、この事業の目的です。”
14日土曜日、爽やかなお天気にも恵まれ、総勢28名が3班に分かれて、「村民の森あいの沢」のUDチェックに向かいました。この検証内容を元に、誰もが安全に利用できるには、今どんな事が求められるのか、意見交換を行ってまとめあげるのが、後半のワークショップです。写真は、コースごとのグループワークの後、各班のメンバーがそれぞれの検証結果をプレゼンしているところ。この結果を踏まえて、次年度改修を実施予定です。「村民の森」がより多くの方々に、今以上にやさしくなった姿を見せてくれるのも、そう遠い事ではないでしょう。
6月14日(土)
午後1:15~2:15 UDチェック
午後2:30~3:30 ワークショップ
≪検証結果≫
良かった点としては…
・全体的な感想は、何と言っても自然の景観がすばらしいこと。 五感を刺激する心地よい自然を活かした、程良い整備に加え、足元のウッド チップの感触が足元にやさしい。
・公園内のトイレがどこもきれいで気持ちが良い。
・駐車場が広く使いやすい
残念な点としては…
・公園内全般に案内板が少ないので、現在自分がどこに位置しているのか把握し にくい。
管理等の位置やトイレの位置等がわかりにくい。
・管理棟内のトイレをもう少し使いやすくして欲しい。段差が気になり、身障者には少し狭い点などがあげられました。
・せっかく集めた「あいの句碑」が配置の仕方の問題からか、文字が読みにくいのが非常に残念という声が多く出ました。アイデアがすばらしいので、もう一 工夫欲しいのではないでしょうか。
・興味深かったのは、検証当日の午前中に、あの岩手・宮城内陸地震が起きたためか、非常時の緊急避難所の表示が必要ではないか、という意見が出た事でした。
![]() |
写真:トイレの手すりには様々な仕掛けがありました |
以上を踏まえ、自然環境との調和を大切にしながら、キャンプ場にふさわしいユニバーサルデザインとは何かを考えて行きたいと思っています。ご協力いただきました皆様に心より感謝申し上げます。
参加者 飯舘村産業振興課の皆様
村民の皆様
福島大学学生
ユニバーサルデザイン結スタッフ
報告書作成によせて
先日の「あいの沢検証事業」には、ユーザーエキスパートの考えのもと様々な方に参加して頂き、UDチェックを実施し、ハード面・ソフト面の双方の視点から検証して頂きました。
皆様からのご意見は、今後の施設整備、管理運営の参考にさせて頂きたいと考えております。
さて、「村民の森あいの沢」は、地域住民の交流や森林との共生を体験することを目的に、森林の持つ特性と自然条件を生かした自然休養地として、昭和50年から第2次林業構造改善事業、新林業構造改善事業、活性化林業構造改善事業により、キャンプサイト、オートキャンプ場、林間広場等の整備を行い、また、平成11年度には山村振興活性化事業により県内で初めて設置された「あいの浮橋・自己完結型トイレ」、自然体験学習館、自然体験の森等の整備を行いました。
これらの整備により園内は、キャンプ等を通じての交流やバードウォッチング、自然体験学習等の場として幅広く利用されています。
このほか、寛延元年(1748年)に建てられたとされる古民家を移築した「民家園」は、個人・グループだけでなくコンサートなど様々な形で利活用されております。また、「愛の俳句と美しい村づくり発信事業」として平成13年から平成18年まで行われた愛の俳句事業では、全国公募にて寄せられた15,400句の中から毎年50句、5年間で計250句を飯舘村特産のみかげ石に刻み遊歩道を整備しました。ここは、うつくしま遊歩道50選に選ばれており、足に負担がかからず歩きやすいようにウッドチップが敷かれています。
あいの沢には、キャンプ等に来られる方だけでなく自然の癒しを求めて来る方が多く訪れます。ここは村内外の方々の憩いの場、交流の場であり、村の大切な観光資源のひとつであるとともに村の観光拠点施設となっております。
このように「あいの沢」は、多種多様に利用されておりますがトイレ等の一部を除いてバリアフリーやUDに配慮した形でつくられた箇所は少ない現状です。
今回の検証では、参加者から「案内標示が少ない」という意見がありました。その一方で、「案内看板等が少なく自然の良さが出ている」といった全く反対の意見もありました。この検証からも当施設は、現在の景観を守りつつ自然との調和を考え活かしながらバリアフリーやUD化を取り入れていく必要があるのではないかと感じました。
みなさんにあいの沢に「来てよかった」、「また来てみたい」と感じていただけるよう、今後この検証を基に、誰もが心地良く快適に利用できる「あいの沢」にして参りたいと考えております。
中川喜昭
「あいの沢」は、昔から何も気にせず利用してきましたが、今回、ユニバーサルデザインの視点で検証する中でいろいろなことを知ることできました。
今までの自分でしたら、UDというとバリアフリーのハード面の検証を考えてしまうのですが、今年度、「NPO法人ユニバーサルデザイン・結」との協働事業を取り組みの中で教えられたソフト面も含めて検証させて頂きました。
また、あいの沢は、村内はもとより村外から来場していただく、村内唯一の「観光スポット」なので、来場者への「やさしさ」「思いやり」が必要な施設と考えながら検証しました。
検証をする中で、新しく作られた駐車場の広さやトイレなどがUDの視点に基づいて作られていることを感じ、近年のUDの考え方が少しずつ普及していることを嬉しく思いました。
しかし、その一方では、県道入口から管理棟、駐車場への誘導案内、標示が少ない。管理棟内の車イス用トイレへの入口が狭い。オートキャンプ場から管理棟のトイレへのアクセスが悪いなど、改善が必要な所が分かりました。
施設の改善や維持には、多額の費用や時間がかかるのでたいへんかなと感じていた時、あいの沢の管理人さんが来場者の親子に対して、楽しそうに木工でのカブトムシづくりを教えていました。その光景を見たとき、「あいの沢」ならではのUDかと感じました。来場者に笑顔で接することや親切に教えることなどもソフト面のUDだと感じました。
今回の検証で村公民館を管理する者として、いろいろなことを知り、感じさせていただきました。これらのことを今後の施設管理や業務に生かしていきたいと感じました。