第5回国際ユニヴァーサルデザイン会義の報告
第5回国際ユニヴァーサルデザイン会議は、11月9日(日)・10日(月)に福島県でプレカンファレンスが、そして、11月11日(火)・12日(水)・ 13日(木)に東京で本大会が開催されました。2002年横浜においてスタートした国際会議ですが、初めて2地域での開催となりました。
今回の会議では、プレカンファレンスの主テーマが「~復興と再生のユニヴァーサルデザイン~」、さらに本大会の主テーマが「ユニヴァーサルデザインのグローカル展開~東京2020オリンピック・パラリンピックへ向けて~」となっており、さらにそれぞれにおいて、3つのサブテーマ
「1.グローカル都市のた めのユニヴァーサルデザイン」
「2.産業振興におけるユニヴァーサルデザイン」
「3.非常時のユヴァーサルデザイン」
が掲げられていました。
国内外からの参加者がその3つのテーマを軸に、より質の高いUD社会を目指して、活発な意見交換及び相互交流を行いました。
冨樫代表理事が参加し、プレカンファレンスではローカルファシリテーターとして、震災の概要を説明し、さらに本大会においては、プレカンファレンスで話し合われた内容についての報告を行ってきました。
第5回 国際ユニヴァーサルデザイン会議2014 in福島
プレカンファレンス 11月9日(日)~10日(月)
テーマ
「ユニヴァーサルデザインのグローカル化 ~復興と再生のユニヴァーサルデザイン~」
フィールドサーヴェイ(貸切バスツアー) |
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ルートA 「地域コミュニティの再生とUD」
*浜通り北部の被災及び復興状況の調査 川俣町山木屋地区・・・写真① |
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飯舘村 南相馬沿岸部 小高区 相馬市復興住宅井戸端長屋…写真② |
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公開ワークショップでは、前日のフィールドサーヴェイの調査から感じた、復興に関する課題やその対策について話し合われました。
グループA
[課題]
- 除染や廃棄物の処理の進捗状況など、正しい現状の 情報が伝わっていない
- 住み慣れた土地を離れ県内外へ避難し、家族が分断されている(コミュニケーションの崩壊)
- 避難の長期化によって、将来への不安・心配が大きい
- 土地の利用(農業にかわる生活を支える仕組みづくり)
- 高齢者や若者の異なるニーズへどのように対応するか
[対策]
- 情報共有・情報交換ができ、人とつながることができる場所づくり
- ふくしまサポーター制度を作る(集めた情報を「冊子」などを使い、県内外、世界へ発信する)
- 従来の土地利用を超えた新しい価値の利用方法を進める(室内農業、食料以外の土地利用)
- 高齢者の伝統の技や能力を次世代へ伝える仕組を作る(避難元の土地の伝統を絶やさない)
ルートB 「観光・サーヴィス産業とUD」
*浜通り南部の観光・サーヴィス産業の復興状況調査 浜風商店街…写真① |
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いわきスパリゾートハワイアンズ…写真② 障がい者雇用施設ハニーズ 久ノ浜町 |
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グループB
[課題]
- 観光客数が回復傾向にあるものの、震災前の状況には戻っていない。
[対策]
- 移動手段をパッケージ化する(輸送力が鍵)
- 「笑顔」と「心遣い」で障がい者も外国人も皆が温かさを感じる観光地へ
- 障がい者の雇用を促進する ・福島の観光発信の強化・工夫をする
- 観光地のUDチェックのデータ化、情報共有化を行い、県内全体で対策を進める
ルートC 「伝統産業とUD」
*会津若松市などの伝統産業の復興状況調査 会津漆器工房 …写真① |
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会津木綿工房 …写真② 女子の暮らしの研究所 会津若松酒造 |
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グループC
[課題]
- 福島の各地の現状が正確に把握されていない。“福島”でひとくくりにされ、会津の伝統産業も風評被害を受けている
- 復興のため、技術革新が注目され、伝統産業の良さの認識が薄れてきている
[対策]
- 差別や誤解をなくすための情報発信をする =伝える場を作る、伝える場に参加する
- 「伝え手」「使い手」「生活者」=「人」のことを考えたものづくりをする
- 福島の伝統=次世代に残したいものを見直しつつ新しい価値も発信する
11月10日(月) ビックパレット郡山公開シンポジウム
*基調講演1
「人口統計・風土+災害:21世紀の復興計画としてのユニヴァーサルデザイン」
ヴァレリー・フレッチャー氏(人間中心デザイン研究所所長)
*基調講演2
「社会的事業家の育成による福島の復興」
半谷栄寿氏 (一般財団法人福島復興ソーラーアグリ体験交流の会代表理事)
*パネルディスカッション
「放射能への正しい理解と風評被害の解消」
番場さち子氏 (ベテランママの会代表/番場ゼミナール塾長)
相馬行胤氏 (旧相馬中村藩主家34代目)
ワークショップでは、前日のフィールドサーヴェイの調査から感じた、復興に関する課題やその対策について話し合われました。