「実物大UDすごろく体験」目的と成果
1 目的(事業を必要とする理由)
急速な少子高齢化を始め社会構造が大きく変化する中、多様な人々が安心・安全に暮らすことを目指すユニバーサルデザイン(UD)の考え方は、年々その重要性を増している。
一方、国民のUD認知度は、まだまだ低く、一層の普及・啓発が欠かせない。
UDに特に関心のない人達への普及を図り県全体としてUDを推進していくため、UDの効果を目に見える形で実感してもらうとともに、特に若年世代の「思いやりの心」「支え合いの心」の涵養を主目的として、以下の体験型啓発事業を実施する。
2 事業の概要
平成20年度に本法人が作成した「UDすごろくまちなかぐるぐるゲーム」を基に、平成22年度に実物大(7×10メートルを想定)にスケールアップした体験版すごろくを制作した。それ以降、毎年度、「実物大UDすごろく体験」を活用した啓発事業を展開している。
体験版「UDすごろく」は、普段の生活でどこにでもあるバリア(階段・でこぼこ道・狭い道・みんなのトイレ・重いドア・隙間等)のモックアップを、まちのシート(畳22帖)の上に置き、そこを、2周回るものである。1週目は、健常な状態であるが、2周目は、高齢者や松葉杖をつく人、妊婦、車いす利用者といった立場や状態が変るため、それぞれのバリアの前で進めなくなってしまう。そこで、友だち同士で、解決策を話し合う。「どうしたらいい?」とその人の立場で考えられることが、このUDすごろくの魅力である。
人や立場、障がいの多様性に気づき、どうしたらより良く暮らせるのか、そこをみんなで考え、他人の痛みを感じ、“いたわり”や、“やさしさ”を感じるのである。
この“助け合う”という気持ちや行動は、今まさに、希薄化している人間関係において人と人をつなげ、地域のコミュニテ-の再生に欠かせない。絆が壊れたなかで、もう一度、新しい絆をつなげることができるのである。
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体験版UDスゴロク写真1 |
(1)実施要項
ア 対象者
小学生(中学年以上での効果が高い)~中学・高校生
イ 開催場所
学校体育館・生涯学習センター・多目的ホール等の屋内のホール
エ 内容
体育館等で実物大すごろくを体験し、UDの考え方を学習
3 成果
思いやりの心は、人としての「根っこ」である。
いつの時代になっても、欠かすことのできない、自己の中でしっかり根付いていなければならない、日本人が、古くから大切にされてきた心で、ふるさとへの想い、家族への想いある。そして、まさにこの思いやりの心は、UDの心である。
今回実施する、「UDすごろく」は、自らの五感を使って「思いやり」を実感できるものであり、子どもを対象に実施することで、お互いを支え合い、助け合う心を育成することができる。子どもたちの心を支え、元気を与えるものは、“UDの心”であると考える。その“思いやりの心”が、さらには、自ら強い意思をもち、輝かしい担い手になり、未来をつくっていくと期待される。
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体験版UDスゴロク写真2 |