福祉のまちづくり学会in新潟へ研究発表で出席してきました

8月31日から9月2日まで新潟の朱鷺メッセでいつものもてなし、ここちよい交流~誰もがくらしやすく、訪れたくなるまちを目指して~福祉のまちづくり学会in新潟が開催され、冨樫代表他7名が出席してきました。

全国の大学とか地域で活動しているNPO法人等と共に、結からは伝えあうことば、つながるこころ -こころのユニバーサルデザイン-指さし会話板の発表を佐藤玲子理事と菅野副代表が報告発表してきました。

 


 

日本福祉のまちづくり学会での発表を終えて

理事:佐藤玲子

 わが家の彼岸花が咲きました。
 日本福祉のまちづくり学会発表から3週間、「情報はタイムリーに、鮮度良く発信」と思いつつ、遅筆の佐藤、ご報告が遅れまして申し訳ありません。

 応援に駆けつけてくださいました皆さま、そしてここに立つに至りました、市役所窓口で使うコミュニケーション支援ボード「指さし会話板」作成に、ご協力いただきました皆さまに、―発表の中でも申し上げましたが―この「指さし会話板」完成までご協力いただいた方々同士のやりとり、そのプロセスこそが、ユニバーサルデザインそのものであった、と改めまして心より感謝申し上げます。
おかげさまで、無事発表を終えることができました。ほんとうにありがとうございました。

 また、この「指さし会話板」をいかにわかりやすく紹介するか、を前日遅くまでホテルの部屋で知恵を出し合い、リハーサルの繰り返しに付き合ってくださった、ここまでのいっさいがっさいのパートナー、副代表菅野真由美さんの存在があったればこそ、と思います。普通のオバサンが、学会と名のつくところで厚顔にも発表の場を与えられ、どうにかその大役を終えることができ、今安堵の思いを共有させていただいています。

 

 さて、発表にあたりましては、6月に提出しました論文(ペーパーの世界:2次元)をいかに立体的(サラウンド:3次元)に伝えられるか、に苦心しました。できあがったもの「指さし会話板」があるので、これを主役(中心)に、会場の方に実物を見ていただくのが一番、と思いました。

 そこでまずは、前述しましたように、制作の折々で強く感じた「完成までにご協力いただいた皆さんとのやりとり、プロセスこそがユニバーサルデザインであった」その思いから、「指さし会話板」が完成するまでのプロセス、紆余曲折を丹念に説明する、それとできあがった「指さし会話板」を、実際に目の前で指さしながら、使い方を説明する、この2点に絞って発表することに腐心しました。

 使い方の説明には、菅野さんに二人羽織よろしく、市民、市役所・支所窓口職員の役を2色の手袋を、市民:右手(オレンジ色の手袋)、市職員:左手(紫色の手袋)に区別してはめてもらい、実際、市役所窓口に市民の方がいらした時、市職員:左手(紫色)で「ご用は何ですか?」を指さし、市民:右手(オレンジ色)で「証明書を取りに」を指さして、交互に両手を使いながら、手続きが「終わりました」までの、「指さし会話板」を使った静かな会話のデモンストレーションを見ていただきました。

 最後のまとめで、ちょっともたつきましたが、この「指さし会話板」完成にご協力いただいた皆さんの思いを、少しでも代弁できたなら、と思います。

 いわきの斎藤先生がふれてくださいましたが、協力してくださった方々の血と汗と涙の結晶が現にあること、それが実際今、福島市役所18支所の窓口に配備され使われていること、その強み、重さ、を感じました。またそれを学会といった場で紹介でき、今さらながら身の引き締まる思いがしました。

 

 以上が学会での発表を終えての報告ですが、初めて参加して、基調講演はじめ、分科会で各方面のそれぞれの取り組みを拝聴し、いろんな方にお目にかかることができ、たくさんの刺激をいただきました。

 障がい者の旅行を考える会の佐藤孝浩さん主催の講演会の講師でいらした、

車椅子で世界中88カ国を旅された木島英登さん、の「理想の『車いす対応トイレ』とは?世界の比較」の発表を聞きました。世界23カ国の比較を織り交ぜながら、わかりやすくとても興味深く拝聴しました。市役所新庁舎のUD提言も、木島さんのお話を伺った後だったら、もっと違った提言もできたかなあ、などと思いました。とにかくポジティブ、パワフルな方とお見受けしました。

 飯坂共同浴場のUDチェックの際の基調講演をしてくださった、関根さんとも再会できました。関根さんいわく

「これからの観光は中国に真似できないこと(3つ)で、勝負すべき!
1.温泉文化:皮膚で味わう芸術
2.日本酒:高温多湿、冬の寒さ・・・日本が誇る芸術
3.和菓子:四季折々の美しさを、一口の大きさの世界に凝縮
これらを誇りに思うしくみがほしい」など。
ごもっとも・・・・いつもながらのその洞察の深さに感じ入りました。 
この3つ、心したいなあ、と思いました。

 またおととし、結の講演会で講師をしていただきました、アクセシブル盛岡の石川さんに2年ぶりにお会いできました。石川さんは、広い人脈をお持ちで、交流会、分科会、ランチの時、といろんな場面で、いろんな方をご紹介くださいました。
 おかげさまで、とても充実した2日間となりました。いただいた刺激を、今後に是非活かしていきたい、とつくづく思いました。

 福島県からは他にいわきUDフォーラムの斎藤代表が:企業の取り組みにみるUDの実態と推進課題について -福島県いわき市を対象として-研究発表されました

 


 

学会出席報告

いわきUDフォーラム代表:斎藤充弘

 もう先月になってしまいますが,8月30日~9月2日にかけまして,
日本福祉のまちづくり学会 第11回 全国大会 in 新潟に出席してきました。

 本協議会からは,ユニバーサルデザイン・結さんの「伝えあうことば、つながるこころ -こころのユニバーサルデザイン-」と私の「企業の取り組みにみるUDの実態と推進課題について -福島県いわき市を対象として-」の2件の発表がありました。

 私自身の発表については,昨年度いわきUDフォーラムとして行った企業に対するアンケート調査よりみえてきたことを,今後の活動(UD推進)に向けてのプレ調査的な位置づけで発表をするつもりで行ってきました。

 ところが,そこは学会,調査の手法や項目,みえてきたこと(分析結果)等について,手厳しい質問や意見を承ってきました。
 それでも,応答の中で意図はご理解いただけたと思いますし,質問者の方ともその後名刺交換をして良い情報交換をしてくることができました。
 時間内に質問・意見を含めて5件と,数多い反応があったことは良いことだと考えて,戻ってからの活動の糧に繋げております。

 結さんの発表は,とても落ち着いていてわかりやすく,実践的な事例発表でとてもよかったです。

 第一日目の講演会・シンポジウムにおきましては,「まちづくり」が中心のテーマでしたが,各地域の各立場で日頃まちづくりに取り組んでいる方々のお話を聞くことができて,大変に有意義な時間を過ごすことができました。
 改めまして,やはり,現場の生の声は一番の説得力があるし,理解することができること実感をして,またいろいろと考えさせられて帰ってきました。

 最終的に800名超の参加があったそうですが,私が普段参加している学会とは異なり,障がいのある方が発表者をはじめ,数多く参加しており,とても賑わいのある学会ではじめて参加させていただいたのですが,居心地良く参加してくることができました。

 3日目の現地視察にも参加してきましたが,こちらは新潟中越地震の現場を見て廻ってきました。こちらも建設の分野に身を置く者としては,大変有意義な時間を過ごすことができました。
 特に,驚いたのは,水没集落をはじめ震災地が観光地化していることでした。案内の看板設置はもとより,視察コースが出来ていて,観光バスが往来している現状には驚かされました。もちろん,復興に取り組む方々や現場を無視することはできませんが・・

 昨日(8日),今日(9日)と,天皇陛下が視察にというニュースが流れていましたが,同じような映像をみて,懐かしく思いました・・

 

 来年は,8月24日からの日程で,帯広にて開催される予定です。

 継続することが大切であると思いますので,協議会からまた事例報告等が出来ると良いですね。

 以上,長くなりましたが,ご報告します。

交流会が開かれた、朱鷺メッセ31階の会場からの日本海の景観が素晴らしかったです。
夕日が日本海に沈む中で、交流会は開催されました。
交流会の様子

ユニバーサルデザインの基本は、お互いに理解合う気持ちが原点なと思います。
今回参加してご一緒出来た三戸さんから、メールが届いていましたのでご紹介します。

福祉のまちづくり学会新潟大会でお会いした秋田の三戸です。

大変お世話になりました。
この学会の雰囲気が良いですね。

私は、いっぱい刺激を受けてきました。

私の著書「マイ・ベクトル 夢をあきらめないで」(グラフ社)をぜひ、読んでくださいな。
私の教育観を生徒とのエピソードをもとに、書きました。

今後とも、よろしくお願いします。

由利本荘市立本荘東中学校 教諭 三戸 学
“生徒といっしょに 先生方といっしょに みんなといっしょに”
メール:manabu1712@m6.dion.ne.jp
WEB:http://www.gakuchan.com/

参加された方は、三戸さんに応援のエールを送って頂ければと思います。

お隣の宮城県からの参加の方達とも交流があり、宮城NPOプラザへのお誘いも受けました。

 


 

第11回全国大会 in 新潟(1日目) 参 加 報 告 書

I・Mコンサル  池田一義

年月日    2008/8/31  13:00 ~ 17:17
場 所   ’朱鷺メッセ(新潟コンベンションセンター)   スノーホールB・展望室

(2)研究討論会
第1分科会 「地域の魅力づくり」
コーディネータ   野沢幸司(ホテル小柳・社長)
パネリスト     松本明(UDプラニングアドバイザー)
パネリスト     松井進一(朝日酒造・部長)
パネリスト     関根千佳(ユーディット・社長)

(3)総括シンポジウム
コーディネーター   林 豊彦(新潟大学大学院自然科学研究科・教授)
パネリスト      野沢幸司
パネリスト      中村俊彦
パネリスト      長谷川美香
コメンテーター    青山佳世

レポート
基調講演者の青山佳世さんは、愛知県生まれ 日本語のとても綺麗な人である。
また訪れたくなる魅力的な街は、「観光客」にとって魅力的な街を作るのではなく、「住んでいる人々」にとって魅力的であり、安心・安全・誇らしく暮らせる地域が、また訪れたくなる街 と考える。行政と住民が力を合わせて魅力的な街をつくっていくことが重要だ。

コーディネータ 野沢幸司氏は、旅館組合のトップである。’来年の新潟国体成功に向ける心意気が強く応援したくなる人物だ。
パネリスト 関根千佳氏は、温泉・日本酒・和菓子 大好き人間である。新潟,IT・UD情報発信の 核心を探り参加者の心を震わすさまは、職人技だ。

コーディネータ 林豊彦氏は、主催者側である。’短時間で各講演を聴いてまとまりが付かない・・・腹の虫がなった・・・

18:00~の交流会に向けて体調をととのえるのが重要だ。

交流会は、朱鷺メッセ展望室(地上31階)開催である。 ‘日本海を眺め 佐藤博志(ヴァィオリニスト)ミニコンサート・地酒(朝日山,麒麟山,八海山,越ノ寒梅,他)・参加者各位と名刺交換・雑談 ‘楽しい語らいででした。

 


 

「観光」と「交流」
第11回日本福祉のまちづくり学会

管野真由美副代表

今回のキーワードは「観光」と「交流」でした。

大会テーマは、いつものおもてなし、ここちよい交流
          ~誰もがくらしやすく、訪れたくなるまちを目指して~

「地域の魅力づくり」の研究討論会には、情報のユニバーサルデザイン研究所・ユーディットの関根千佳さんもパネリストとして登場しました。

久しぶりの再会を喜び合ったあと、彼女曰く、「なぜか最近、観光のシンポジウムからお呼びがかかるのよ・・・。」

それもそのはず、観光地、特に温泉地の振興やUDへの提言は、具体的であり、ユーザーの鋭い視点を代弁してくれています!

温泉、日本酒、和菓子。
そこでしか味わえないものは、人を惹きつけます。ネットの時代だからこそ、そこに出向いて、五感で感じることが大切。

著書「スローなユビキタスライフ」でも、高齢過疎のまちがITとUDによって、新たな価値を見いだしています。

『持っている「宝物」を誇りに思える仕組みをつくる』こと、それによって、もっともっと地方は輝けるのです!

介護保険と住宅改修
ふくまち学会報告、その2です。
 
福祉住環境コーディネーター資格、福祉に携わる方、あるいは私たち建築士などが共通の専門知識を身につけるため、取得する資格です。
 
介護保険制度の中に住宅改修のための助成金制度があり、しばしば利用されるサービスですが、
そういった改修計画を立てるときになくてはならない知識と言えます。
 
「建築・住環境」の研究発表の中でも、ケアマネさんとどういう連携がとられているか、などといった実態調査結果が報告されました。
 
保険者(自治体)、ケアマネージャー、そして建築士がこころをひとつにして、計画にあたることは当然のことながら、そのプランニングが効果的かどうかを、評価するしくみも必要になってくるということ、また、介護度が進んでから対応ではなく、『要支援』の段階からプランニングを実施していく余裕も必要、というお話。
 
全国の自治体のなかで、介護支援専門員への技術的サポート体制があるところは、一割強存在するということです。
 
現場で改修に携わる者のひとりとしては、今後、その技術的サポートの内容に関する情報もほしいところです。
 
もしかして、異質?
ふくまち学会報告、その3です。
 
最後になってしまいましたが、佐藤理事、学会での研究発表、お疲れさまでした!
 
どんな風に組み立てたら良いか、前日まで考えに考え・・・。当日、午前中の他の方の発表を聞いて、
やっと気持ちが固まったのではないか、と思います。
 
そもそも、ふくまち学会とは???やっと飲み込めたころには、もう順番が来ていましたね(汗)。
 
調査報告、研究の過程の報告がほとんどの中、私たちの報告は、良い意味での異質さがあったのではないかと感じます。
 
『もの』が出来上がっている、そしてそれを使っている人がいる。そこが、一番の違いでしょうか。
 
それゆえに、新鮮な印象を持っていただけたのだと思います。
 
 
不安の中で参加したこの学会、それでも、たくさんの出逢いと交流があり、とても刺激になった2日間であったことは、間違いありません。
 
初日、新潟駅でバスに乗ろうとした車いすの方が乗車拒否にあった、というショッキングなニュースが。
次の日、本人とお話する機会があり、「慣れていますから・・・。でも、このことによって、少しずつ変わるでしょう」と。
 
また、周りにいた方の対応がすばらしかったとの話も耳に。乗り合わせた学会に向う方が、すぐバスを止め、何人かの協力を得て、車いすを持ち上げて乗せ、ちょっと手を差し伸べれば、ちっともめんどうなことなんかじゃない、不可能なことだってないんだ、ということを運転手に見せてあげたとのこと。
 
冷静な説明と行動によって、人を変え、社会を変えることを実践した人たちがそこにいたこと、心にじわっときました。
 
そんなあったかい気持ちの中、日本海に沈む真っ赤な太陽に見送られて帰路についた、新潟行きでした。