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ユニバーサルデザインが五感で紡ぐまでいの里 思いやり推進事業
はじめに
元気な人の集合体、飯舘村。福島県相馬郡飯舘村は、福島市から東へ車で約1時間ほどの 阿武隈の高地に位置します。

飯舘村の人口は約6300人。阿武隈山系北部の高原地帯に開けた、美しく素朴な農村が魅力の村で、豊かな自然と共に、いいたての時間と空気を満喫できます。

飯舘村は、自然、歴史、産業・文化、それぞれに魅力のある村です。

自然は、村民の森あいの沢、はやま湖、虎捕山(とらとりやま)、花塚山(はなづかやま)、野手上山(のでがみやま)、比曽の水芭蕉など、たくさんの美しい自然があふれています。

歴史は、山津見神社、大雷神社、真野ダム、岩部ダムなど、自然と共に生きてきた村民の歴史を感じることができます。

産業・文化は、宿泊体験館「きこり」、森林浴散策道、もりの駅「まごころ」、ほんの森いいたて、ニュートラックいいたて、ふれあい茶屋。食文化では、飯舘牛や地元の高原野菜などがあり、また、地場産業として、みかげ石の産業もいいたての特徴となっています。

この他にも、飯舘村には伝統ある祭りや行事、新しいイベントなど、一年を通して、魅力ある生活がたくさんあります。

飯舘村は、村づくりの基本理念として、“までいライフ(MADAY LIFE)”を宣言しています。

“までい”というこの言葉は、飯舘の村民が古くからなじんできた言葉です。親や年寄りから「食い物はまでいに食えよ」「子供はまでいに育てろよ」と教えられてきました。大切に食べなさい、丁寧に育てなさいという意味です。「手間隙を惜しまず」「丁寧に」「心をこめて」「時間をかけて」「じっくりと」そんな心が“までい”にはこめられているのです。
平成20年度、飯舘村とNPO法人ユニバーサルデザイン結は、福島県の公益信託うつくしま基金の第6回協働コースに「ユニバーサルデザインが五感で紡ぐまでいの里 思いやり推進事業」を応募し、採択されました。
NPO法人ユニバーサルデザイン結は、福島県内にユニバーサルデザインの考え方を広く推進するために活動をしております。

飯舘村民が古くからなじんできた“までい”という言葉の根幹は、まさにユニバーサルデザインが唱える“思いやりの心”に通じるものです。飯舘村のお互いを尊重し、認め、助け合う暮らし、結のこころが息づくような地域づくりは、まさにユニバーサルデザインの理念、私たちが考える、“結のこころ”そのものだと言えます。

「ユニバーサルデザインが五感で紡ぐまでいの里 思いやり推進事業」は大きく分けて、5つの事業から構成されています。

1.ユニバーサルデザインの普及啓発活動。ユニバーサルデザインの講座の開催。
2.五感を育てるまでい塾。 新・伝統食コンテスト、「人のやさしさみ~つけた」写真コンテスト、中学生主催による「心と心をつなぐ集い」の開催、「村民の森あいの沢」UD検証、「UDスポーツ」の講座・大会の開催。
3.までいブランド創出事業。
4.飯舘のまでいライフのPR。 今ご覧いただいているDVDの制作。
5.一年の活動を“までい”に振り返る。ユニバーサルデザインのつどいの開催
です。
UD教室・小学生のためのワークショップ
平成20年7月2日、UD教室・小学生のためのワークショップを開催しました。飯舘村の3校の小学校において、ユニバーサルデザインとは何かを見つけるためのワークショップです。対象は4年生から6年生までの児童で、飯樋小学校、臼石小学校、草野小学校。各学校における持ち時間はわずか45分間 という限られた中で、果たして子供たちがどこまで感じ取ってくれるのか不安と期待の中で始まりました。
 紙芝居「UDをさがして」に、真剣なまなざしで見入る子供達。子供達の純粋な心にUDとは何かと、問いかけます。そして、その答えは、荒 正文先生のワークショップにおいて、すばらしい輝きと感動を持って返ってきたのでした。
新・伝統食の創出。 食口”を通した世代間交流。
 平成20年10月25日、新・伝統食コンテストを行いました。地域に根ざした伝統食を祖父母から孫へ、そして未来へ繋げていく事で、地域や環境に配慮する心を育み、また、世代を超えた「新・伝統食」を生み出す事を目的としました。子供からお年寄り、障がいを持った方でも、同じように食する楽しみを味わう事ができる料理を提案してもらうことが、食のユニバーサルデザインです。
このコンテストの応募対象は飯舘村在住の皆様。主になる食材は、飯舘特産の大豆です。大豆はそのままでも、つぶしたり、粉にしたり、その形状は問いませんでした。
 第一次書類審査912日金曜日に行われ、応募総数は23作品。どれもが優しさと、思いやりの心、「までい」の心に満ち溢れており審査は難航。結果 10作品が最終審査に残り、『新・伝統食コンテスト』において最終選考となりました。

最終選考は調理をしていただいての実食審査でしたが、どの作品も書類審査で想像した以上に創意工夫がなされ想像をはるかに上回り、美味しいことはもちろん独特の味わいがありました。実食の後の、選考会においては審査員の白熱した議論が飛び交いまた。予定の審査時間を大幅に遅れて、ようやくの決定となりました。

入賞作品の詳細は此方から
「人のやさしさみ~つけた」写真コンテスト
 平成20年10月25日、「人のやさしさ み~つけた」写真コンテストを行いました。飯舘村内の3つの小学校の4・5・6年生を対象に、一人ひとりに使い切りカメラをお渡して、身の回りにある優しさや思いやりの心を感じた風景等を撮影してもらいました。その中から一枚 気に入った物を自分で選び、どうしてそう感じたのか、コメントをつけていただきました。
 UD教室のワークショップによりUDを学んだ子供達の感性が、これらの写真という形で表現されたのです。子供達の中で、UDとは何かという感覚は確実に根付いているのだという事が、出来上がった写真のすばらしさでうかがい知る事が出来ました。応募総数は178枚。人へのやさしさ、おもいやりがどの作品にも表れていました。
ユニバーサルデザインコンサート
平成20年9月12日に、飯舘中全生徒と教師、約200人に対して、こころの絆を結ぶユニバーサルな学校~命の輝きみつめて~という講演会が行われました。結のメンバーである八代氏の体験談の中に出てきた、歌手:沢田知加子さんの歌により力付けられたという話がきっかけになって、飯舘中学校3年生が中心となり活動している「やったね!実行委員会」では、沢田さんとの交流を計画。その努力が実を結んだのがこのコンサートです。
生徒たちが書いた感想文には普段は気がつかない命について考えさせられたとか、自分はもっともっとがんばらなくちゃいけないとか、感動したというメッセージが寄せられました。努力することの素晴らしさ、輝いて生きることは自分次第ということが、沢田さんの曲とともに子どもたちの心にズシリと残ったといいます。
そして11月30日に、ユニバーサルデザインコンサートが飯館中学校で開催されました。
自然公園「村民の森あいの沢」UD検証

平成20年6月14日、爽やかなお天気にも恵まれ、総勢28名が3班に分かれて、「村民の森あいの沢」のUDチェックに向かいました。

ユーザーエキスパートの考えのもと、多様な方々に参加していただきUDチェックを実施し、ハード面・ソフト面の双方の視点から検証するのが、この事業の目的でした。

この検証内容を元に、誰もが安全に利用できるには、今どんな事が求められるのか、意見交換を行ってまとめあげました。コースごとのグループワークの後、各班のメ ンバーがそれぞれの検証結果をプレゼンし、この結果を踏まえて、次年度改修を実施予定です。「村民の森」がより多くの方々に、今以上にやさしくなった姿をお見せできるのも、そう遠い事ではないでしょう。
みんなで楽しむUDスポーツ

第4回 思いやりまでいラリーピンポン大会・第1回 いいたてボッチャ大会

平成20629日、第4回 思いやりまでいラリーピンポン大会を開催しました。ユニバーサルデザインスポーツとは、子供から高齢者、障害を抱えた人までが同じルールで楽しめるスポーツです。その中には「ぼっちゃ」「フライングディスク」「ピンポン」などがあります。第4回目になる『思いやりまでいラリーピンポン大会』では、ピンポンを通し地域住民が交流する事で、絆が強まり、さらには個々の健康維持・向上を図ることができる上に、練習を通して,協調性や思いやりの心が育まれていくことが期待されます。

『思いやりまでいラリーピンポン大会』は、およそ130名の参加者により開催されました。個人参加はもとより、親子、夫婦な ど、年齢・性別を問わず、又、村外からも多数の参加者が集い、まさにUDスポーツにふさわしい大会になりました。この大会の特徴は、その名称のごとく、いかに相手を思いやって打ちやすい球を返し、長くラリーが続くかを競うところにあります。技術的に強い人が勝利する訳では無いのです。だからこそ、小さな お子さんから、高齢者まで、幅広く楽しむ事ができました。

平成20年11月9日、第1回いいたてボッチャ大会を開催しました。「すべての人が人生のある時点で何らかの障害を持つ」ということが発想の基本で、障害の有無、年齢、性別、国籍、人種等に関わらず誰もが気持ちよく、無理 なく楽しむ事ができるスポーツというのがコンセプトで、その中の一つに『ぼっちゃ』があります。パラリンピックの正式競技にもなっているスポーツですが、自治体が主催して大会を開催するのは、全国的にも飯舘村が初めてです。その「第1回 いいたてボッチャ大会」には、村内の様々な団体・企業からの参加、そして村外からも福大生をはじめ、様々なグループの参加を得、20チーム近くのエントリーがありました。

印象的だったのは、素晴らしいコントロールのお年寄りの方が、「ほめられるなんて、本当にうれしいこと!」と、満面の笑顔を見せてくださった事です。このお年寄りの方は、最後に個人賞を受賞されていました。ユニバーサルスポーツの素晴らしさはこういうところにあるのでしょう。どんな人も、高齢者も、子供も、障害があろうがなかろうが、ほめられたらうれしいし、勝てばうれしいし、自信につながります。そこに生きがいさえも見出せるとしたら、こんなに素晴らしい事はありません。『ぼっちゃ』は間違いなく、飯舘村に根付いてくれるでしょう。
ユニバーサルデザインのつどいinまでいの里
平成201214日、協働事業の締めくくりとして、次のステップへの新しい「きずな」を発展させるつどいです。未来に繋げる「ユニバーサルデザインのつどいinまでいの里」を開催しました。
この事業は飯舘村との協働事業ですが、新たな協働、住民参加の「仕組みづくり」など、民が主体の協働事業のあり方など新しい形の村づくり、社会づくりの参考となりました
まとめ
飯舘村とNPO法人ユニバーサルデザイン結のコラボレーションは、今年度、大成功に終わり、新たなステージへと向かいます。
UDの考え方を意識付けすることにより、お互いを尊重し認め、助け合うことが当たり前にできる社会、結の心が息づくような社会。誰もが生き生きと輝いて自分らしく生活できる社会。そういった社会を、ここ飯舘村では実現するところまで来ております。
このような取組みは、福島県は元より、全国から注目を浴びることとなり、「目指せ飯舘」と目標になるような誇り高き飯舘村を誕生させることでしょう。
そして、今回の事業で生まれた新しい「きづな」をより深め、ユニバーサルデザインの精神と「までい」の精神との交わりにより、村の財産である村民一人ひとりが、お互いにその存在を認め合い、支え合えることでしょう。村民が、豊かな知性と感性を身につけ、お互いに尊敬し合える心、支え合う優しい心、たくましい創造力、好奇心旺盛でチャレンジ精神に富んだ人間を、家族や地域ぐるみで見守りながら育て、また自分自身も地域の中で成長していく。そんな、人づくりを飯舘村の誇りとして大切にしていきます。
※報告冊子をご希望の方はご連絡下さい。・・・・・・詳細は此方から
  実費で配布致します。


085008・指さし会話板報告書
080502・飯舘協働事業
080315・福島県UD推進協議会
070919・福島医大病院UD検証
070721・定例会議(1)議事録
070701・総会の報告
070426・受託事業報告


ユニバーサルデザイン・結|E-mail:info@ud-yui.com
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